top of page

Mood Indigo 死にたくなる気分 

1931年
作曲:Duke Ellington デューク・エリントン

作詞:Irving Mills アーヴィング・ミルズ
   Barney Bigard バーニー・ビガード

 

〈解説〉
1930年にデューク・エリントンが作曲した「Dreamy Bluse」というインストゥル・ナンバーに1931年になってアーヴィング・ミルズとバーニー・ビガードが歌詞をつけたものです。作詞された時点に「Mood Indigo(ムード・インディゴ)」という題名になりました。

 

「You ain't been "blue" no,no,no.  You ain't been "blue", till you've had that mood "indigo"」

「君はブルーだといってもたいしたことないよ、とんでもない。
君はブルーだといったってどうってことないさ、インディゴの気分になるまではね」

「blue(ブルー)」は「青い」ということで、「めいった気持ち」「憂うつな気持ち」のことをいいますが、「そんなものはどうってことはないんだ、インディゴの気分になるまではね」と。


「indigo(インディゴ)」の藍(あい)色の気分は死にたくなるほど悲しいのです。ブルーをはるかに超える、悲しみのインディゴ、そんなインディゴの気分を歌っています。

「When I get that "mood indigo" I could lay me down and die」

「"インディゴの気分"になると横になって死んでもいいと思ってしまうんだ」

アーヴィング・ミルズは、楽譜出版社経営、作詞家、ブッキングマネージャーといったことをし、歌手として歌もうたったといいます。
ミルズは、エリントンの曲に多く作詞しており、エリントン楽団を発掘しプロモートして、トップに押し上げたのは、彼の力によるところも大きいと評価されています。

そしてバーニー・ビガードはエリントン楽団のクラリネット奏者で、エリントン・サウンドには欠かせない存在でした。

この曲のクレジットは、ミルズとビガード作詞、エリントン作曲となっていますが、本当のところは、作詞はミッチェル・パリッシュという人で、作曲はバーニー・ビガードであり、そこへミルズとエリントンが入り込んできたということのようです。

 

曲のクレジットとは法的なもので、名前さえ入り込めばよいというものなので、実際とは違う場合もよくあるものです。
エリントンと誰かが共作になっているものは、実際に作曲したのはエリントンではない場合もある、と考えた方がいいでしょう。
ミッチェル・パリッシュは、ミルズが彼の才能を評価し自分の出版社に入れた人なので、ミルズの影に隠れてしまうこともあったのではないでしょうか。
世の中とはそんなものです。

 

 

〈歌詞〉
You ain't never been blue; no, no, no,
君はブルーだといってもたいしたことないよ、とんでもない

You ain't never been blue,
君はブルーだといったってどうってことないさ、インディゴの気分でないのなら

Till you've had that mood indigo.
あのインディゴ気分ときたら

That feelin' goes stealin' down to my shoes
靴の底まで沈んでしまうように重苦しいんんだ

While I just sit here and sigh, "Go 'long blues".
そういうときは、俺は座ってため息をついて
「おまえなぁ、どこかにいっちまえよ」って言うんだけどね

I always get that mood indigo,
俺はいつもインディゴ気分さ

Since my baby said goodbye.

恋人が去っていってしまったから

And in the evenin' when the lights are low,
暗い明かりがともされるころは、

I'm so lonely I could cry.
寂しくなって泣いているよ

'Cause there's nobody who cares about me,
誰も俺のことを気にもかけてくれないから

I'm just a poor fool that's bluer than blue can be.
これ以上悲しいやつはいないというほど、俺は悲しい男さ

When I get that mood indigo,

インディゴの気分になると


I could lay me down and die.
横になって死んでもいいと思ってしまうんだ


 

bottom of page